2016/12/03

『この世界の片隅に』を観た感想

優れた芸術作品はその作品に触れた後に世界が違って見えると何かで読んだことがある。
そういうこともあるんだろうと思ってはいたけれど、実際にそんな体験をしたことは無かった。
で、これが、それ!
BK(ビフォー『この世界の片隅に』)、AK(アフター『この世界の片隅に』)という感じ。

映画が終わった後、劇場に明かりがつくと、大抵は場内がザワつくのだけれど、ところどころで、鼻をすすっている泣いている人がいるものの、場内はシーーーンとしていた。
皆、現実の世界に戻るのに、少し時間が必要なようだった。
私もスマホの電源を入れる気にも、一緒に行った京阪さん(仮名)に話しかける気にもなれず。
ただただ茫然自失。

そして、ごめんなさい。アニメなめてました。
いや、自分ではなめてるつもり無かったけれど、この映画を観た後では、今まではアニメの力を過小評価していました!と謝罪するしかない気持ち。
どんな大金かけて実写で作るより、このアニメ表現の方が「リアル」だと思う。
アニメにしか描けない「リアル」な世界というものが存在するんだ!と実感しました。
米軍の空爆や一斉掃射のシーン、防空壕のシーンなんか、本当に自分の体が爆撃で揺れているような感覚になりました。

ふわ~っとした柔らかい絵と、主人公のすずさんの描く水彩画のようにキレイな色彩。
この色合いは日本の自然の色だなー。
やわらかくかわいい絵で描くからこそ、爆撃や、原爆後の街など、おどろおどろしいタッチの暗い色彩の絵で表現されるよりも、かえってその痛ましさ悲しさが際立っていた。

のんこと能年玲奈ちゃんのぽわわんとした声が、後半、戦争が激しくなるにつれて、こみあげてくる感情がにじんだ声の表現や、玉音放送後の抑えられない感情の爆発の表現など、本当に上手いなぁーと思った。
女優としても、声優としても一流なんじゃないだろうか。
いっぺんにファンになってしまった。

コトリンゴさんの優しい歌声、悲しいメロディーではないのに涙がにじむような。
映画にも能年ちゃんの声にもピッタリ。

♪かなしくてかなしくてとてもやりきれないこのやるせないモヤモヤを誰かに告げようか♪


サントラ欲しいです。

日常を生きること、小さな生活を守ることが、私たちの戦いなんだというようなことをすずさんが言う場面で心をつかまれた。
国がどうの思想がどうのと言っても、実際の毎日の生活があってこそなのだから。
見終わって、肉ごぼううどんとかやくごはんのセットを食べながらしみじみしてしまった。

他にも、『この世界の片隅に』について言いたいこといっぱいあるのだけれど、まだ見ていない人にネタバレになりそうだし、あまり連投するのも申し訳ないので、今日はこのくらいにしといたるわ!(笑)……失礼いたしました。m(__)m












0 件のコメント:

コメントを投稿